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2016年12月26日

投資家の皆さまへ

政治を無視する選択肢はあり得ない


将来について語る前に、まずは2016年の出来事を振り返ってみましょう。シリア紛争と過激派組織イスラム国(IS)の問題は未だ解決の目処が立たず、ロシアと中国は対外強硬政策を強め、欧州ではポピュリズムが台頭しました。さらには英国では欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)が決定し、米国ではドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利しました。以上の材料を考慮すれば、市場は十分に持ち堪えたと言っても良いかもしれません。これは「政治相場は本質的に長続きしないものであり、今後については、投資家は政治以外の材料に注意を向けるべきである」ということを意味するのでしょうか。しかし昔から、市場は不安定な状況を嫌うと言われて来たはずではなかったでしょうか。英国のEU離脱プロセスの結果は未だ不透明であり、また米国で採用され得る政策、そして実際に採用される政策が判明するまでには数カ月かかる可能性があります。しかし今のところ、米国株式市場をはじめ、各国の市場では、このような不透明感が重石となっている証拠はあまり見られません。

それどころか、米国株式市場は過去最高値で推移しています。時機尚早との感が否めませんが、投資家は変革をもたらす人物としてトランプ氏に期待し、しきりに称賛しています。このような環境下、投資家は政治的な分析をせざるを得ないはずです。世界の通貨、金利、株式市場の先導役となっている米国のこととなれば、なおさらでしょう。誰が決断を下すのか、いつ下すのか、それは誰の意見に賛同(反対)したうえでの決断なのか、その決断を拒む権利があるのは誰か。さらには金融と財政の境界はどこにあるのか、考慮すべき国際関係はどれか、といった側面に関して、投資家は確固たる考えを持つように努める必要があります。ブレグジットと米大統領選において明確な考えを持っていた投資家は、当時も今も、大半の政治家や市場参加者より遥かに優位な立場に立っています。

しかし目下のところ、市場は「成長は加速し、インフレ率の上昇は制御可能」という楽観シナリオの下で動いています。もしかすると景気刺激策への期待感を背景に市場はさらに上昇するかもしれません。しかしながら、政策効果を実感できるようになるまで、ずっと高揚感だけを原動力に良好な景気指標が持続するのは難しいでしょう。うまくいかなければ、米国市場は現在、「大いなる失望」に向かっていることになり、新政権が実際に政策を実行に移すのに予想より時間がかかった場合、市場の熱気は突如として失われるかもしれません。一方、これとはまったく逆のことが欧州の株式市場で起きています。米国市場とのバリュエーション格差から見て取れる通り、現在の欧州市場は政治的リスクを織り込んでいます。しかしスペインや、フランソワ・フィヨン元首相が大統領選挙に向けた中道右派統一候補になったフランスのような国でさえ、明るい兆しが出てきていることを考えると、実は欧州にポジティブ・サプライズの可能性があるかもしれません。いずれにせよ、我々は2017年を迎えるに当たり、特定の地域を強く選好しない方針を決定しました。今後はこの決定を含め、当社のすべてのポジションについて、米国の政治動向を視野に入れながら定期的に見直しを行っていく予定です。また米国の次期大統領がもたらす可能性のあるプラス、マイナス両面のサプライズについても引き続き注視します。結局のところ、市場は政治に左右されるのです。

 

Stefan Kreuzkamp Signed

 

ステファン・クロイツカンプ チーフ・インベストメント・オフィサー
ステファン・クロイツカンプ,
チーフ・インベストメント・オフィサー
米国の次期大統領がもたらす可能性のあるプラス、マイナス両面のサプライズについて、引き続き注視します。

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