2018年6月13日

CIOビューセミナーHighlights

2018年4月某日、ドイチェ・アセット・マネジメントのアジア太平洋地域チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)兼新興国株式運用部門グローバル責任者であるショーン・テイラーが来日し、世界経済ならびに新興国市場の投資展望を語った。

アジア太平洋地域チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)兼 新興国株式運用部門グローバル責任者 ショーン・テイラー

アジア太平洋地域チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO) 兼
新興国株式運用部門グローバル責任者

ショーン・テイラー

香港在勤。21年に及ぶ業界経験を経て、2013年にドイチェ・アセット・マネジメント入社。それ以前は、GAM社(在ロンドン&ドバイ)におけるインベストメント・ディレクターやソシエテ・ジェネラルにおける世界株式及び新興国株式の運用責任者などを務めた。1994年にファンド・マネジャーとしてCapel Cure Myers社でキャリアを開始。
マンチェスター・ビジネス・スクール卒(MBA)
アジア地域の金融専門誌「アジア・アセット・マネジメント」主催の「ベスト・オブ・ザ・ベスト・アワード2018」にて、ドイチェ・アセット・マネジメントは“CIO of the Year in Asia”を2年連続受賞。

5部門でアワードを受賞
グローバル・リアル・エステート(3年)
グローバル・リアル・エステート(10年)
アジア・ボンド(3年)
グローバル・マルチ・アセット(10年)
CIO・オブ・ザ・イヤー・イン・アジア

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堅調な米国経済を背景に米国金利は上昇を始めました。こうした状況下に対してどのような投資姿勢が求められるでしょうか?また、量的緩和(QE)を継続している欧州中央銀行(ECB)の次の一手のタイミングはいつになるでしょうか?20年以上の運用経験を有するドイチェ・アセット・マネジメントのアジア太平洋CIO兼新興国株式運用グローバル責任者であるショーン・テイラーによるマクロ経済や各地域の見通しをご紹介いたします。

2017年の世界経済の振り返りと2018年、2019年の株式市場の見通し

 2017年は株式市場にとって異例とも言える年でした。低ボラティリティの状況下、S&P500種株価指数は22%もの年間トータル・リターンを出したことに加え、最大ドローダウンはわずか3%でした。1980年から2016年における年率平均トータル・リターンは12%、平均最大ドローダウンは10%だったことからも2017年の数値がいかに特異な水準だったかが分かります。2018年に入ってから市場のボラティリティが高まっていますが、これはあくまで正常な状態に戻っているものと考えています。

 2018、2019年の世界経済の成長率予測は共に3.9%と当社では2012年以降最高を見込んでいます。世界経済は引き続き「適温」経済が継続するものと考えており、2018、2019年は2017年と同様、力強いペースで成長すると予想しています。その要因として、減税効果や財政が追い風となり、堅調な成長を続けている米国経済が挙げられます。

先進国 Vs 新興国のGDP成長率予想 欧州においては2018年の経済成長率は潜在成長率を上回る2.3%となることを予想しており、インフレ率が緩やかな上昇にとどまっていることなどを背景に、欧州中央銀行(ECB)は金融引き締めに慎重な姿勢を維持するものと見ています。一方、2019年には、2011年以来となる利上げを実施する見込みでドラギ総裁退任後の新体制が注目されそうです。

 世界的なリスクとして考えられるのは、米中の貿易問題です。ただ、貿易問題で仮に成長率予測が0.1-0.2%程度押し下げられたとしても、今後2年程度はそれを上回る経済成長が期待できます。その成長をけん引するのがデジタル化です。インダストリー4.0に代表する、人間を介在しない生産設備であるスマート工場やA.I.(人工知能)の発達、自動運転といった技術が低インフレかつ高成長の経済を後押しすると考えています。

新興国株式市場はより「選別的」な投資が必要に

アジア

 アジアについては、中国・インドをオーバーウェイト(OW)としています(2018年4月現在)。中国においては習近平氏の政治体制のもと、改革が進み政治的にも安定した状態が継続しています。GDP成長率は2018年が6.5%、2019年は6.3%と予想しており、今後も質の高い成長が推し進められる見込みです。つまり、以前の成長モデルは債務を増やしてインフラを整備し、経済を拡大してGDPを押し上げていましたが、実質的な成長に寄与しているわけではありませんでした。例えば2009年にはGDPを1米ドル押し上げるために、1米ドルのコストをかけて何らかの政策を打つ必要がありましたが、現在は、GDPを1米ドル押し上げるためには8米ドルもの刺激策が必要で、成長モデルを再考するステージとなっています。成長率は以前より落ちるかも知れませんが、より消費セクターが拡大し、内需が牽引するような、質の高い新しい成長モデルが今後の中国の成長の高い割合を占めるようになると期待しています。インドにおいては、モディ政権が推し進める物品税や労働市場、土地改革が奏功し2018年は7.5%、2019年は8.0%の成長を予測しています。

中南米

 中南米では、ブラジルをOWとしています。ブラジルについては、これまで債務を増やして成長を生み出してきた側面があり、約4年間リセッション(景気後退)が継続していた過去があります。現在、GDPの45%の税収を得ている反面、インフラへの投資は14%にとどまっています。残りは社会保障や、公務員の手当て、さらには汚職で消えてしまい、一般市民の生活向上には使われてきませんでした。テメル大統領はそういった問題点を認識し改革を進めてきましたが、自らの汚職疑惑で起訴され、改革は頓挫してしまいました。今年10月の大統領選挙ではテメル大統領の路線を引き継ぐ、ブラジルの成長にとってポジティブな大統領が選出されると期待されており、それが実現すれば今後の同国の成長を支えていくものと考えています。

ロシア

 ロシアのGDPは2015、2016年とマイナス成長でしたが、2017年はプラス成長に転じ、経済が回復基調となっています。2014年からインフレ率が急上昇していましたが、直近ではインフレ率、政策金利共に低下し、さらに原油価格が安定していることも追い風となっている状況です。現在、米大統領選挙への介入疑惑やシリア・アサド政権への武器の供給といった行為に対して米国の制裁を受けており、当社ではロシアを戦略的にUWとしています。しかし、米国の制裁問題が解決すればポジティブな投資環境が訪れると考えています。

新興国のポジショニング
まとめ - 投資戦略のポイント 「選別的」「戦術的」「機動的」に

 以上述べたような投資環境下において、我々はどのように行動すべきでしょうか。その回答として3つあげられます。1つ目は国や地域の投資先を厳選する、つまり「選別的」に投資をすること。2つ目は、ファンダメンタルズが強固であるにも関わらず、市場が下がったときには積極的に投資をし、その後市場が回復して十分な収益が得られたら売りに行くような「戦術的」な投資が有効と考えます。最後に、様々な資産クラスを「機動的」に組み合わせることで市場環境の変化に柔軟に対応していくことが重要だと考えます。

CIOビューセミナーの様子

※東京某所で開催されたCIOビューセミナーの様子

Asia Asset Management “Best of the Best Award“について
アジア・アセット・マネジメントが発表する「ベスト・オブ・ザ・ベスト・アワード」は、今年で15年目を迎え、年1回アジアにおける優れた業績を達成した運用会社やその他金融機関等を表彰するプログラムです。この賞は、パフォーマンス(Performance)、国(Country)、地域(Regional) の3つのカテゴリーに分けられ授与されます。パフォーマンス賞は、運用会社が運用するファンドのパフォーマンス分析に基づき評価されます。国別賞は、同じ国の運用会社の実績やスキルを比較し、評価されます。対象国はアジア12ヵ国・地域(中国、香港、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)です。地域別賞は、アジア地域において、優れた運用実績のある金融サービス会社、機関投資家、販売会社に与えられる賞です。審査対象となるデータは、2017年12月末時点のものです。
※当該評価は過去の一定期間の実績を分析したものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。

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