2016年12月16日

更なる利上げに向けて

・米連邦準備制度理事会(FRB)はついに利上げに踏み出しました。今後更なる利上げに向けて動き出すようです。

ここ1年で状況は一変しました。昨年12月に利上げが行われた際には、利上げ懐疑論者の中で米国経済は1度の利上げですら難しいのではないかとの懸念が広がっていました。しかし今回は一変、FRBの利上げペースが遅すぎるではないかとも言われています。

今年FRBは、今回0.5~0.75%に引き上げたのみでした。今回の決定は、2015年12月と同様に全会一致でした。トランプ氏が大統領選で勝利した後、ここ数週間の資本市場の動きは目を見張るものがあります。選挙後、米国株式は過去最高値を更新、米10年国債利回りは0.6パーセント・ポイント以上上昇し、現在2.5%を超える水準となっています。インフレへの期待と経済成長への期待の両方が迅速に広がりました。

FRBのイエレン議長は記者会見で、米国経済はすでに完全雇用の状態まで回復している可能性があると示唆しました。これは、トランプ新政権が巨額の財政刺激策を実施することで、金利が急上昇する可能性を示唆しています。しかし、FRBは市場とは異なり、トランプ次期米大統領の財政政策がより明確になるまでは経済成長に対する見通しを見直すことはしないでしょう。

連邦公開市場委員会(FOMC)参加メンバーによる政策金利見通しであるドットチャートは、2017年に2回ではなく3回の利上げを示唆しています。2017年の金利予想(中央値)は、2016年9月時点の1.1%から今回1.4%まで上昇しました。これは注目すべき事です。なぜなら、近年のドットチャートの改訂では金利は低下という1つの方向しか示されてこなかったからです。 同様に、FRBは国内総生産(GDP)成長率見通しを上方修正しました。修正幅は僅かなものでしたが、ようやく引き上げられたことは注目に値する事と言えるでしょう。

しかし、私たちは今回の利上げ及び市場の反応について、あまり深読みすべきではないと考えます。FRBの一部のメンバーの予測は、他のメンバー予測より重みを持ちますが、いずれにせよ、前回は上方に歪んでいた分布が、今では下方への歪みをみせています。言い換えれば、FOMCメンバーによる金利予想(中央値)は、2回をわずかに上回る利上げから3回をわずかに下回る利上げに変更されたに過ぎず、今後のデータ次第では、この変化はさして劇的なものではない事が判明するかもしれません。

さらに事態を複雑にしているのは、トランプ政権がどのような金融政策を推進するかが不明であるということです。すでにFOMCには2つの空席がありますが、更に2つ、すなわち議長と副議長の後任が2018年の夏までに決定される必要があることは大きな懸念事項です。

イエレン議長は、2015年12月の利上げ時の記者会見で、「景気拡大が長期化すれば失速するというのは神話に過ぎ ない」と述べました。最近の経済成長に対する期待の回復に照らせば、その評価は今でも有効と考えられます。しかし ながら、景気拡大を続けるためには、新政権が財政政策とFOMCの空席を埋めるための計画の両方をより明確にすることが必要でしょう。 一方で、我々は、米ドルの上昇を含め長期的な予測を維持しますが、今後数週間で利益確定売りの 可能性があることに注意が必要かもしれません。

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