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2020年9月5日

投資家の皆さまへ


市場はどれほど先行しているのか?


我々は2021年について楽観的な見方をしていますが、一方でバリュエーションは先行しすぎているようで、短期的には失望感の影響を受けやすいでしょう。



今のように金融市場の今後12カ月間の潜在リターンがほとんどないという状況を我々が予測したことはめったにありません。これは我々の経済見通しが特に悲観的だからではありません。新型コロナウイルスについては、我々は今後の行方を特に楽観的にも悲観的にも見積もっていません。実際のところ我々はこの春以来、我々のウイルスモデルにほぼ忠実なままです。しかし慎重になるべき理由が多くあります。ロックダウンからの立ち直りという経済回復の中でも最も力強い部分は既に過去のものとなっているでしょう。今は若干忍耐が求められる段階が始まっており、徐々に進む改善はおそらく小幅なものとなるでしょう。様々な種類の短期的な措置が期限切れを迎える中で、今になってやっと明らかになるパンデミックの反動もあるかもしれません。また、規模の小さい企業には倒産の波が訪れる可能性があります。ですから、2回目の大規模なロックダウンがないという前提で経済全体は依然として上向きですが、それでも何らかの調整があるでしょう。企業や社会がウイルスと共存しようと努力を続ける中で、あらゆるセクターが等しくメリットを享受できるわけではありません。

当社のリターン予測が低いのは、このバリュエーションが理由です。株価指数の多くがコロナ以前の高値近辺や、それ以上で取引されるようになっています。社債のリスクプレミアムもほぼ危機以前の水準にまで縮小しています。まるで新型コロナウイルスなどなかったかのようです。

しかもこの状況は理解できないものではありません。記録的な財政支援策に加えて、寛大な中央銀行もこの前向きな心理に貢献してきました。名目金利と実質金利が低いことから、やはり本質的に株式に替わるものはありません。さらに、機関投資家の多くは株式組入れ比率を危機以前の水準に引き上げておらず、一方では多くの投資初心者が市場に入ってきています。1投資に対する需要は健在です。この状況が引き起こす問題として、バリュエーションが今世紀の変わり目ごろの水準に戻っているということです。ですから、我々は慎重になっているのです。中央銀行の介入があっても、収益プロファイルの変動が大きいため、株式は依然としてリスク投資です。低金利の時期であっても株式のリスクプレミアムはなくなりません。さらに、日本の例が示す通り、中央銀行の寛大さや超低金利をもってしても株価の上昇が保証されるわけではありません。どこかの時点で企業業績が追い付く必要があるのです。企業業績については、株価同様、コロナ危機の結果として弱者と強者のギャップが開いています。米国のテクノロジー企業の多くは危機の間であっても利益を拡大し、一貫してバリュエーションの新記録を達成しています。短期的にはこのセクターが引き続き市場を上回るでしょうし、ヘルスケアセクターについても同様のことが言えます。しかしより長期的には上昇余地は少なくなっていくでしょう。最有力企業でさえも苦戦するようになる可能性があります。

国債利回りは横ばいになると見込んでいます。今後12カ月間はインフレが投資家にとっての大きな懸念になるとは考えていません。先進国の社債は引き続き中央銀行による資産購入プログラムによって下支えされるでしょうが、スプレッドの縮小はほぼ出尽くしたようです。米ドルについては、現在の水準から若干回復すると見込んでいます。

この環境において、オルタナティブ投資に目を向ける価値があると考えます。実質金利が低いことや世界中の債務の高まりを考えると、金がヘッジ商品としての魅力を保つでしょう。プライベートエクイティ投資家もこの有望な古くからの投資対象に参入してくる可能性があります。一方で不動産は今までになく一貫性を欠くものとなっています。非常に高い利回りのあるセグメントもありますが、高級店でのショッピングの減少、オンラインショッピングの増加、在宅勤務の拡大を受けて、小売およびオフィス不動産は今後しばらくの間は圧力を受け続けるでしょう。今では全ての資産クラスに広がっているサステナブル投資やESGランキングになると状況はよりはっきりします。エネルギー、自動車、素材などの気候変動リスクへのエクスポージャの高いセクターのパフォーマンスは今年目に見えて平均を下回りました。

つまり、今後12カ月は刺激的ではあるものの、我々は市場の上昇余地はほとんどなく、市場の調整の可能性を排除できないと予測しています。既に兆しのあるリスクがいとも簡単に調整を引き起こす可能性があります。米中間のテクノロジー紛争の深刻化、新型コロナウイルスとの戦いの失敗、米国の景気刺激策に関する合意の不首尾、激しさが予想される米国大統領選までの期間や大統領選後の舵取りによっては、市場にとって再び暑い秋という、まったくサプライズではない事態がいとも簡単に引き起こされる可能性があります。


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ステファン・クロイツカンプ チーフ・インベストメント・オフィサー
ステファン・クロイツカンプ
チーフ・インベストメント・オフィサー


“もちろん、市場というものはある程度は経済を先取りするものです。しかし、今は先取りの仕方があまりにも楽観的過ぎると我々は考えています。現在のバリュエーションが示唆する水準の業績を企業が挙げるようになるまでには様々なことが起こり得ます。“


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