ポートフォリオ・マネジャーのドイツ滞在記

ドイツ人の効率的な仕事ぶりとは!?

ドイツ・フランクフルトの秋は1年でもっとも過ごしやすく旅行にも適しているといわれています。そんな時期(2017年9-10月)に、ドイチェ・アセット・マネジメント運用部 欧州債券担当ポートフォリオ・マネジャーの吉田がドイツ・フランクフルトに滞在しました。

ドイツ人は真面目で勤勉で、日本人とも気質が合うといわれています。そんなドイツ人の仕事スタイルやドイツ流ワークライフバランス、また有名なオクトーバーフェストに参加した模様など、吉田のドイツ滞在記をお届けします!


DWSの入る建物

仕事編

■ポートフォリオ・マネジャー(PM)の1日 in フランクフルト

朝8時過ぎに、社員は出社し始めます。8時前にオフィスに来ている人はあまりいません。出社後は各自前日マーケットのチェックおよびメールの確認を済ませます。ポートフォリオによっては資金流出入を受けてリバランス(配分調整)を行います。

9時15分:
クレジット(社債)チームは朝の電話会議を行い、前日のマーケット(企業決算等)の情報共有および当日の市場動向(特に新発債状況等)を各資産(ハイ・イールド、公益・産業・銀行セクター、新興国等)の担当者が報告します。そして、この会議を束ねるのはEMEA(欧州、中東、アフリカ)担当の共同債券責任者であるマーカス・ウィードマン(Markus Wiedemann)です。会議の最後に彼が言うセリフは「Anything else ? Bye !」

この後、昼から午後にかけては、PMごとにリバランスの続きを発注する人もいれば、プレゼン資料の準備をする人、発行体との会議やブローカーとの情報交換をする人等様々です。

12時:
多くの人がランチに行き始めます。DWS社員専用のカフェテリア(食堂)で昼食を取る人もいれば、外に出て食べる人もいます。

13時:
デスクに戻り仕事を再開します。

13時45分:
ユーロ IG(投資適格債券)チームは米国のIGチームと電話会議

15時:
ユーロ HY(ハイ・イールド債券)チームは米国のHYチームと電話会議

当日に資金流出入の申し込みを受けて、翌日発注する債券銘柄、資金繰り等のチェックを行います。

17時:
ちらほらと帰り始める人がいます

17時30分:
帰る人が増え始めます

18時:
ぞくぞくと帰り始めます

18時30分:
ほとんどの人が帰ります

金曜日になると、これが1時間繰り上がり16時くらいから帰り始めます。そして、18時に会社にいる人は少数になります。

早朝に閑散とするオフィス

かなりの人数が収容可能なカフェテリア

ユーロ HYチームのミーティングの様子

■CIO DAY

グローバルCIOであるステファン・クロイツカンプ(Stefan Kreuzkamp)主導のもと、四半期ごとに行われる約4時間半(Executive sessionも含めると6時間)に及ぶ一大イベントがCIO DAYです。このCIO DAYで共有される情報をまとめて、レポートにし発行するのがCIOビューです

基本的には、各アセットクラスの代表者が市場動向と見通しを資料をもとに説明し(計280ページ)、Q&Aセッションに入るという形式になります。各アセットクラスごとに持ち時間が設定されており、多少のずれはあるものの、時間内で討議を行い効率的に進められます。

CIO DAYの様子

また、ビデオ会議形式でニューヨーク・ロンドン・ボルティモアそしてボストンと繋がっています。闊達に議論が出来るように、音声やPC接続等の専門スタッフが後列に常に待機しています。そして、長丁場を乗り切るために飲み物やお菓子、休憩時間には軽食も用意されています。
最後はステファン・クロイツカンプが総括を行い、Executive sessionを経て、CIO DAYは終わります。

冒頭にも書きましたが、特にCIOオフィスにとって、このCIO DAYは一大イベントです。計280ページの資料をまとめ、用意しなければなりません。実際にCIO DAYの直前になるとCIOオフィスチームは遅くまで、準備等の作業に追われているようでした。また、ITスタッフも各地域とのビデオ・電話での接続をスムーズに行うために、随時チェックを行わなければなりません。ポートフォリオ・マネジャーやエコノミストだけではなく、関係スタッフ全員を含めた重要なイベントとなっています。

CIO DAYの流れ
●冒頭、キーテーマ&トピックの確認⇒15分
●マクロ、グローバル経済⇒30分
●マルチアセット⇒30分
●債券⇒45分
●株式⇒45分
~休憩~
●オルタナティブ⇒45分
●総括⇒15分
●Executive session⇒90分

CIOビュービデオの収録の様子

■ソフトバンクの大規模起債に参戦!

ソフトバンクグループは、携帯電話や電気通信事業におけるビジネス展開だけでなく、世界規模の情報技術(IT)投資を目的とする「ビジョン・ファンド」を通じて幅広い分野への投資に舵を切っています。

同社は2017年9月11及び12日にドル建てとユーロ建ての普通社債を欧州とアジアを中心とする海外市場で機関投資家向けに募集し、資金調達・社債発行を実施しました。全部で4本の社債発行で、償還期間が7年(4.75%)と10年(5.125%)のドル建て社債を計33億5000万ドル、8年(3.125%)と12年(4%)のユーロ建て社債を計22億5000万ユーロ発行しました。調達した資金用途は主に、2016年の英半導体設計アーム・ホールディングス買収に伴うブリッジローン(つなぎ融資)返済などに充てられるとのことです。

実はこの起債発表の前の週、投資家との電話会議が開催され、フランクフルトのユーロ HYチームともミーティングがセットされていました。投資家サイドは近々起債があることと、その内容(年限やクーポン等)は知らされますが、具体的な日にちはこの時点で知らされません。電話会議は約1時間で、はじめに、発行体(ソフトバンク側)から起債背景や今後の業績見通し及び戦略について説明があります。その後適宜、投資家サイド(ユーロ HYチーム)から、具体的な財務データ目標や、時期、経営戦略等について質問をし、回答を得るという流れになります。

オフィスでユーロ HY チームメンバーと

こういったロードショーに参加して気付くことがあります。自分の「生まれ育った国ではない国」の企業に興味を持ち、分析をし、投資判断を下す。やはりそこには、収益獲得に向けたPMの才能だけではなく、追求・探求するアナリストの素養も必要なのではないかと感じました。

実際、ミーティングのなかで、アナリストとしての好奇心的な一面を、PMが見せるときがあるのです。ポートフォリオ・マネジャーとアナリストを兼務するというフランクフルトのPMのスタイルは、社債投資に関して理にかなっていると感じた瞬間でした。

文化・生活編

■短い秋を経て、冬に向かうフランクフルトの気候

日本の秋よりも気温が低く、また風が強まってくる傾向があります。日照時間が短くなり、寒く長い冬に向けて一気に冷え込む日が増えますが、ビールやワインを飲むイベントも多いため、お酒を飲むドイツ人にとっては一年のうちで一番おすすめの時期なようです。

■フランクフルトの食べ物

やはりソーセージが有名ですし、実際外食などで目にすることが多いです。シュニッツェル(ドイツ流とんかつ)も有名ですが、こちらで勧められたのは「カリーブルスト」(ソーセージにケチャップとカレー粉をまぶしたもの)。欧州ハイ・イールドPM(ポートフォリオ・マネジャー)であるパー・バーマン(Per Wehrmann)の大好物です。

市内には日本食のレストラン(寿司等)もいくつかあり、日本人にとっても不自由しないと思いますし、価格帯もほとんど日本と変わらない様に感じます。また、ドイツでは昼に暖かい食事を取り、夜はサンドイッチ等で簡単に済ませる、というのが一般的だそうです。

カリーブルスト

■家族との時間を大切にしつつ、同僚との交流を育むフランクフルトの人達

子供の送り迎えがあるため、遅めの出社・早めの帰社は、ごく普通のようです。フランクフルトの同僚は、男性女性、PM関係なく、遅めの出社・早めの帰社に対して、すごく寛容でフレキシブルなイメージを持ちました。

そして、金曜日の午後になると、いくつかのチームではシャンパンを片手に集まり、談笑します。1週間の仕事を振り返り、リセットし、週末を経て次の週に備える、そんな儀式の様に感じました。

サイドデスクに収まらないほどのケーキの山

今回の滞在で初めて知ったのですが、フランクフルトの人達は自分の誕生日に自分でケーキを買い、会社に持参して同僚にシェアをする習慣があるのです。大概がホールケーキをいくつか買い、サイドデスクの上に置きます。気付いた同僚達は、誕生日の本人のところに行き、握手を交わし、祝い、一緒にケーキを食べます。

また、誕生日でも、30・40・50を迎える人達は特別に扱われます。メッセージカードに加えて、気持ち程度の現金が有志でプレゼントされます(本人には秘密で実施され、当日手渡しされます)。

結婚が決まった人も特別扱いされ、みんなの前で上司が祝いの言葉を述べ、花束が渡されます。初めて見た時は、てっきり退社の挨拶をしているものと思ってしまいました。

■オクトーバーフェスト

私の滞在期間にワインフェスティバルとオクトーバーフェストがフランクフルトで催されており、同僚と参加してきました。こちらでは仕事終わりに同僚と飲みに行くことはそれ程多くないようですが、イベント時には集まり、時間を共有しているようです。

オクトーバーフェストはドイツ最大のイベントと言っても過言では無いそうで、9月半ばから10月上旬にかけて催されるお祭りです。当日は17時半頃に早々と仕事を切り上げ、服装もお祭り用に整えます。

男性は「レーダーホーゼン」という肩紐付きの皮製半ズボン、女性は「ディアンドル」という刺繍で彩られた民族衣装を着るのが一般的(両方ともに、日本で言うと浴衣・着物のような位置付け)の様です。

本場はミュンヘンのオクトーバーフェストでこちらは観光客にも有名ですが、フランクフルトでも勿論開催されます。会場は17時半開場、24時に終わります。

18時頃、路面電車を使い会場に到着、事前に購入したチケットに記載された付近に陣取ります。当然皆ビールを頼み、食事をします。19時頃になるとステージでバンドミュージックが始まり、歌い・踊り・騒ぎ・飲む、これが終わりまで続きます。

会場自体は3,000人程度が収納可能な広さですが、これが2週間近く毎日続くので、やはり一大イベントです。ビールの飲めない自分ですが、雰囲気だけでも十分に楽しむことが出来ました。バンドミュージックはドイツ語で、1980年代のドイツで有名な歌だったそうですが、老若男女問わず歌って踊っていました。

役職関係なく、マネージング・ディレクターや新入社員すらもビールを片手に歌い・踊り、時にはみんなと一緒にシャウトするその姿は、素直に羨ましく・微笑ましい光景でした。また、180cm以上の大きな体で、子供のように飛び跳ね・踊る楽しそうな姿は、可愛らしいと思わずにはいられませんでした。

服を着替えて、イベント会場へ!

チームメンバーと乾杯!

皆でシャウト!

まとめ

同僚・家族を大切にし、ジブリ映画に出てきそうな可愛らしい街で、ポートフォリオ・マネジャーとして懸命に働く彼らは輝いて見えます。「東京と比べたらフランクフルトは” Village”だよ」と、欧州投資適格社債チームのポートフォリオ・マネジャーは笑いながら言っていました。
確かに規模は小さいかも知れませんが、「東京には無い特別な場所」だと自分は思います。
お時間あれば、是非フランクフルトを訪ねて見て下さい!ご飯もすごく美味しいです!

フランクフルトの町並み
フランクフルトのパン屋
フランクフルトの同僚たち Danke!

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