2024/01/24 Market outlook

DWSの市場見通し|2024年1月

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昨年末に株価が上昇したことを受けて、2024年の株式市場の予想を上方修正すべきでしょうか?「現時点で目標株価を引き上げるべき理由は見当たりません。戦術的な株式投資家にとっては、今年中により優れたエントリーポイントが出てくるでしょう」と、グローバルCIOのビヨルン・ジェシュは述べています。

#1 市場とマクロ経済

「投資家は市場を追いかけてはならない」


2023年11月末時点の我々の2024年の見通しは、年末までに主要株式市場が1桁台後半の上昇を見せる余地がある、という想定を基にしていました。まだ年の明けない2023年12月に株価が急激に上昇したことを受けて、2024年始めの時点で年末の目標株価が既に達成され、場合によってはそれを上回ってしまうことになりました。我々の予想を上方修正すべきでしょうか? 「現時点で目標株価を引き上げるべき理由は見当たりません」とグローバルCIOのビヨルン・ジェシュは述べています。


「10年物米国国債の利回りが年末までの我々の予想である4.2%を下回って大幅に低下するか、企業収益が11月の我々の予測よりもはるかに良くなった場合に限って、目標株価の修正を正当化できるでしょう。現在、どちらについてもその兆しはありません」。現在の市場は若干落ち着いているとジェシュは見ています。S&P500種株価指数のボラティリティ指数であるVIX指数は非常に低い水準である12になりました。


つまり、投資家のリスク認識がかなり低いということです。「戦術的な株式投資家にとっては、今年中により優れたエントリーポイントが出てくるでしょう」というのが、市場を「追いかける」ことから距離を置くジェシュの予想です。欧州の特に中小型株のリスクプレミアムも、日本のリスクプレミアムも、それほど高いわけではありません。このような理由から、株式投資についてジェシュは米国よりも欧州と日本という2つの地域を選好します。

Björn Jesch

グローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー

52% ドイツで消費されるエネルギーのうち、2023年に再生可能エネルギーから発電された割合。しかしまだ目標達成までは遠く、2030年までに80%に高めることを目指す。

出所:ロイター、2024年1月2日の記事「Germany‘s 2023 renewable power installations hit record, but wind sector lags」

資本市場を牽引するトピックス


経済:先進国は低迷、中国はボトムアウトするだろう

  • 米国経済は2024年も引き続き低迷し、2025年に再び加速すると予想。地政学的な情勢が不安定で今後エスカレートするリスクもあり、これが経済成長に大きな足かせとなっている。
  • 2024年のユーロ圏の経済成長もかなり穏やかになる予想。しかし、中国がボトムアウトすると見込まれることから、その他の新興国は恩恵を受けられるだろう。

インフレ:市場が好転してきたと考えるのは時期尚早

  • インフレ率上昇の脅威はまだなくなっていない。ドイツの12月のインフレ率は3.7%(11月は3.2%)。カーボンプライシングの上昇を受けた高いエネルギー価格や、依然として上昇している労働コストによって、1月にはインフレ率が4%に近づく可能性もある。
  • 12月のユーロ圏のインフレ率は2.9%に上昇した(11月は2.4%)。特にサービスセクターにおける価格上昇のトレンドが継続しており、12月は4%上昇した。

中央銀行:市場の予想よりも利下げには時間がかかる可能性

  • 12月の株価上昇は主に、間もなく利下げが開始されるという市場の期待によって起きた。しかし、この期待は時期尚早だったというサインが増えている。
  • 労働市場の動向がカギを握る。「賃金インフレ」がキーワードとなる。最新の米国のデータからは、逼迫した労働市場の状況が解消する兆しはない。雇用創出が増え、賃金は前年比4.1%上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)はおそらく利下げを急ぐことはないだろう。

#2 株式

特に欧州の中小型株に大幅な巻き返し余地


昨年は株式投資家にとって素晴らしい年になりました。ロシアによるウクライナに対する戦争の継続や中東での紛争など、さまざまな政治的な問題があるにも関わらず、ほぼすべての主要株価指数が上昇しました。最もパフォーマンスが良かったのは米国テクノロジー株です。ナスダック総合株価指数は1年で33%上昇しました。日本株式は前年末から29%上昇しました。S&P500種株価指数も同指数の最大銘柄である7社の巨大テクノロジー企業「マグニフィセント・セブン」に牽引され、約26%という大幅な上昇を見せました。2022年にはこの7銘柄の時価総額はほぼ半分にまで落ち込んだにも関わらず、持ち直しました。 ユーロ圏株式も好調でした。ユーロ・ストックス50指数は約23%上昇しました。こういった動向にはダウンサイドもあります。既にほぼすべての指数で株価が大幅に上昇したため、現時点でアップサイドの余地がほとんどない、ということです。


欧州の中小型株は数少ない例外です。この2年間のパフォーマンスは明らかに大型株に遅れを取っています。「中小型株はこの15年で最低の株価水準になっています」と欧州株式共同責任者のフィリップ・シュヴェネケは述べています。インフレ率が高い時期に市場参加者はこういった株式に厳しい目を向ける傾向があります。小型株は負債比率が高いため脆弱だ、と市場参加者が考えていることが理由の1つです。しかしこれは誤った通念です。


シュヴェネケは次のように述べています。「実際のところ、欧州の中小型株の負債比率は大型株よりも低くなっています。2024年と2025年の収益成長について、中小型株は明らかに大型株を上回っています」。現時点で、安定的な収益成長が見込め、かつ適度な株価水準にあるような、極めて大きな投資妙味のある銘柄が幅広く存在しています。

6,680億キロワット時 2024年に米国で供給される風力発電と太陽光発電による電力。そして、太陽光発電や風力発電による電力が初めて、石炭を使った火力発電による電力を上回ることになる。

出所:ブルームバーグ、2023年12月13日

Philipp Schweneke

欧州株式共同責任者

「マグニフィセント・セブン」が再び強い勝ち組に


過去12カ月間の主要株式市場のパフォーマンス


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出所:DWSインベストメントGmbH、2023年12月末時点。
過去の実績は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。

米国株式

米国株式に推進力はほとんど見込めない

  • 今年の米国の消費は若干低迷する可能性があります。賃金上昇と過剰な貯蓄という足元の追い風が先細りする可能性があるためです。
  • S&P500種株価指数構成銘柄の企業収益は今年横ばいになる予想です。過去数週間の株価上昇という状況に照らして、大幅な株価上昇の余地はほとんどないようです。

 

ドイツ株式

2023年が良好な投資の年であったため、今年の投資機会は限定される

  • ドイツ経済は足元で勢いを欠いている。最新の製造業とサービス業の購買担当者景気指数は47.4ポイントと、 成長の分かれ目である50を下回った。希望の兆しは、11月の輸出データが3.7%上昇し、驚くほど好調であったこと。
  • こういった弱さにも関わらず、ドイツ主要株価指数であるDAX指数は12月に非常に良好なパフォーマンスを挙げ、 年間上昇率は19%となった。現在の株価水準では、現時点でのさらなる株価上昇余地はほとんどないと我々は 見ている。

 

欧州株式

株価は既に良好なパフォーナンスを挙げた

  • 2024年の欧州経済にはほとんど勢いがない見込み。主要株価指数もそれを示しており、2023年第3四半期の 業績発表もまだら模様であった。
  • 12月の株価上昇を受けて、大型株は既に我々が2024年末までに予測していた水準に達してしまった。
  • 現時点で欧州中小型株に最も大きな株価上昇余地があると我々は見ている。中小型株の中には依然として巻き返し余地のある健全な企業が多く存在している。

 

新興国株式

銘柄選定が引き続きカギを握る

  • 昨年の新興国株式のパフォーマンスは地域によって大幅に異なった。ラテンアメリカ株式は非常に良いパフォーマンスを挙げ、MSCIラテンアメリカ・インデックスは33.52%上昇した。反対にアジア株式のパフォーマンスは6.2%の上昇であり、かなり低迷した。
  • 今年について我々は再びアジア株式に前向きな見方を持っているが、中国についていくつかの疑問点が依然として残っている。消費、テクノロジー、金融といったセクターの特定銘柄に投資機会がある可能性がある。

#3 債券

「利下げについて市場は現時点で楽観的過ぎる可能性がある」


非常に高い現在の利回りが2023年の債券投資を大きく変えました。2年物米国国債の利回りは一時的に5%になり、米国ハイ・イールド債券の利回りは10%になりました。2023年末が近づくと、利回りはかなり突然低下しました。


欧州・中東・アフリカ(EMEA)金利責任者のオリバー・アイヒマンはその理由を2つ挙げています。1つ目は、多くの市場参加者の予想よりも米国と欧州のインフレデータが低かったことです。2つ目は、FRBや欧州中央銀行(ECB)といった各国中央銀行から現在の利上げサイクルの終了の可能性が示唆されたことです。「債券市場では、利下げに関して織り込まれた楽観が若干行き過ぎていたのではないかと私は考えます。


一時的に、2024年末までにECBによる1.5%の利下げが織り込まれました。我々は、今年末までの主要金利の0.75%の引き下げを予測しています」とアイヒマンは述べています。よって、今後数週間の中で市場は下方修正される可能性があります。短期的に、アイヒマンもハイ・イールド債券については慎重です。足元で、国債とのスプレッドは若干縮小しすぎており、これが再び拡大する可能性があります。

Oliver Eichmann

欧州・中東・アフリカ(EMEA)金利責任者

国債 - 記録的な高利回りは終了


2023年初来の10年物国債の利回りの動向


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出所:DWSインベストメントGmbH、2023年12月末時点

米国国債 (10年物)

利回りは底打ちの見込み

  • 10年物米国国債の利回りは2023年末に大幅に下落した後、4%近辺で安定している。
  • 1それでも、2年物米国国債のイールドは約4.4%であり、より投資妙味があるようだ。

 

ドイツ国債 (10年物)

ドイツ国債の魅力は米国国債より劣る

  • ドイツ国債の利回りも底打ちの見込み。
  • 2年物ドイツ国債の利回りは2.5%と若干上昇しているが、それでも2年物米国国債よりもはるかに劣っている。

 

新興国ソブリン債

先進国の国債よりも大きな利回りの競争力がある

  • 昨年の新興国ソブリン債の利回りは約11%。
  • 短期的ではあるものの、見通しは相応にポジティブであり、利回りはむしろ上昇して価格の下落につながる見込み。

 

社債

投資適格

米国
ユーロ圏
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ハイ・イールド

米国
ユーロ圏

#4 通貨

ユーロ/米ドル

ユーロにさらなる調整の余地はほとんどない

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  • FRBによる高金利が米ドルを下支えする見込み。ユーロ圏のインフレが落ち着きつつある限り、ECBがFRB以上に引き締め的な金融政策を取る兆しはない。
  • つまり、米ドルがユーロに対して引き続き強く、過去3カ月間続いた欧州の共通通貨であるユーロの調整が終わると見られる。

#5 オルタナティブ資産

金価格は引き続き上昇する可能性がある

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  • 過去数週間、米国金利の上昇と米ドル高を受けて金価格は若干弱含んだ。
  • 金の見通しは良好であると我々は考えており、特に今年利下げが予想されていることからさらなる価格上昇余地があると見ている。

凡例

短期および長期見通し

指標は、DWSが当該資産クラスに関して上昇、横ばい、または下落の見通しを示しています。
短期的見通しは1~3カ月、長期的見通しは2024年12月までの収益可能性を示しています。

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  • 収益がプラスになる可能性
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  • 収益機会と損失リスクはいずれも限定的
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  • 収益がマイナスになる可能性

データや見通し等は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。

出所:DWSインベストメントGmbH、2024年1月10日時点

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