残念なことに、地政学的リスクが一段と高まっています。ガザにおける衝突がさらにエスカレートする一方、すでに18カ月に及ぶロシアのウクライナ侵攻に対する関心は低下しています。
「この複合リスクを市場は消化しきれないでしょう」と、グローバル・チーフ・インベストメント・オフィサーであるビヨルン・ジェシュは述べています。経済成長の見通しについても強い不透明感があります。米国においても中国においても、第3四半期の経済成長はアップサイドのサプライズになりましたが、このようなプラスの勢いは長続きしない可能性があります。購買担当者景気指数といった先行指標をはじめ、信用の供給と需要が弱含んでいるためです。
「短期的(2023年末まで)に、我々は株式市場にかなり慎重です」とジェシュは付け加えています。地政学的リスク以外にも、高水準の金利やまだら模様の四半期の企業業績も市場の足かせになっています。
資本市場を牽引するトピックス
経済:2024年の先進国の経済成長は引き続き低迷
- 米国経済がソフトランディングする可能性が最近高まってきた。我々のベースシナリオでは依然として若干の景気後退を想定している。
- ユーロ圏の経済成長は低迷し、来年も状況は変わらないだろう。しかし現時点で我々は景気後退を見越していない。
インフレ:米国と欧州でインフレ率は低下
- 足元のインフレ率は米国とユーロ圏で大幅に低下した。しかし賃金コストの上昇を受けて、労働集約型のサービスセクターにおいてインフレ率は依然としてかなり高い。
- 賃金以外にインフレ率が中央銀行の目標である2%を大幅に上回っている要因としては、エネルギー価格の上昇が挙げられる。
中央銀行:おそらくこれ以上の利上げはない
- 直近の会合において米連邦準備制度理事会(FRB)も欧州中央銀行(ECB)も追加的な利上げを実施しなかった。
- FRBのジェローム・パウエル議長は直近の記者会見で、潜在成長率を上回って経済が成長した場合には一段の利上げもいとわないと発言したものの、我々はこれで利上げサイクルが終了すると見ている。
*出所:ロイター 「This year 'virtually certain' to be warmest in 125,000 years, EU scientists say」 2023年11月8日付
データや見通し等は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
出所:DWSインベストメントGmbH、2023年11月10日時点