米国では銀行が破綻し、欧州でも経営危機に陥る銀行が出ており、資本市場には非常に大きな圧力がかかっています。「しかし今の状況は2008年の金融危機の時とは大きく異なっており、我々は依然としてかなり落ち着いています」と、グローバル・チーフ・インベストメント・オフィサーであるビヨルン・ジェシュは述べています。日々の混乱を目の当たりにする中において、全体像を失わないようにしたいものです。「中央銀行は経済活動を冷やしてインフレをコントロールしたいと考えています。この数日間、中央銀行はうまく前に進めたはずです」とジェシュは付け加えています。前向きな面もあります。この数年間とは異なり、このところさまざまな資産クラスへの幅広い分散投資が報われてきています。国債やディフェンシブな株式セグメント、金といったものはすべて、足元が悪化する中でも利益を挙げています。
現在、アジアの新興国市場に好機があるとジェシュは見ています。中国では経済回復を受けて経済成長の見通しが大幅に改善しています。「今後2年間でアジア新興国の企業収益は世界の他の地域の2倍の速さで伸びると我々は予測しています」とジェシュは述べています。
資本市場を牽引するトピックス
経済: 最も高い経済成長見通しはアジア
- 米国は2023年に穏やかな景気後退に陥る予測。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げがもたらす景気減速の効果は第2四半期までは表れないだろう。経済成長予測は、2023年は0.7%、2024年は1.1 %。
- ユーロ圏の経済成長は穏やかだろう。2023年は0.8%、2024年は1.1%。現時点で我々は景気後退を予測していない。
- 新興国市場、とりわけアジアの新興国が最も高い経済成長を記録する見込み。2023年は5.5%、2024年は5.3%。
インフレ: 中央銀行はインフレ抑制に必要なあらゆる措置を講じるだろう
- 中央銀行はインフレをコントロールするためにあらゆることをすると我々は見ている。
- コアインフレ率の下落スピードが期待されていたよりも遅いものの、2024年末までにインフレ率はユーロ圏と米国で3%未満に低下する可能性がある。
金融政策: 高インフレ率を受けて中央銀行はさらなる利上げを余儀なくされるだろう
- 3月16日に欧州中央銀行(ECB)は神経質な市場の渦中で主要金利を50ベーシスポイント引き上げて3.5%とした。高インフレ率を受けて、追加の利上げは避けて通れないようだ。
- 我々は第2四半期末までにFRBがさらなる利上げに踏み切り5.25~5.5%にすると予測している(現在は4.50~4.75%)。
*出所:国際エネルギー機関(IEA)、「CO2 emissions in 2022」
データや見通し等は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
出所:DWSインベストメントGmbH、2023年3月17日時点