2023/11/15 Market outlook

リターンに影響を与える要因として配当の重要性が増すだろう

株式

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グローバル株式市場は10月まで3カ月連続で下落しましたが、11月に入り株価は上昇基調にあります。この動向の引き金となった主な要因の1つは米国国債利回りの急激な低下でしょう。この動きの背後にあるのは、労働市場のデータが堅調ではなかったため予想よりも早く利下げが始まる、という期待が市場で高まっていることです。しかし、株式市場の今後の方向性については依然として深刻な懸念があります。

「今後の市場ボラティリティの高まりを示唆するさまざまな兆候があり、少なくとも当面の間株式市場で2桁台のリターンは期待できないかもしれません」と、株式のグローバル共同責任者であるトーマス・シュスラーは述べています。

よって、リターンに影響を与える要因として、配当が再び投資家の関心を集める可能性があります。シュスラーは、「企業が来年の配当を大幅に引き下げる兆しは全くありません」と述べています。むしろその逆で、我々は多くの企業が来年増配すると予想しています。

我々は株式の中では欧州株、その中でも特に中小型株を最も選好します。また、日本株も選好します。日本株は安定しつつある輸出や健全なバランスシートに加え、主要指数である東証株価指数(TOPIX)構成企業の業績が今後12カ月間で5~6%成長するという予想などに支えられています。セクター別では、我々は通信と一般消費財を選好します。

Thomas Schüßler

株式グローバル共同責任者

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米国株式

短期的に米国株式の上昇余地はほとんどない

  • 我々は引き続き米国で若干の景気後退を予想している。消費が落ち込み、S&P500種株価指数構成企業の業績は横ばいとなるだろう。
  • 株式市場は神経質な展開が続くだろう。少なくとも短期的には、高水準の債券利回りと高いバリュエーションが引き続き株価上昇余地を抑える要因になるだろう。

 

ドイツ株式

かなり割安だが足かせもある

  • ドイツ株式の見通しはまだら模様である。ファンダメンタルズはそれほど良くも悪くもなく、センチメントは若干弱い。
  • バリュエーションは欧州市場全体と変わらず、特に米国株式と比較すると相対的に割安な状態が続くだろう。しかし、中国との事業活動の低迷が逆風となり、これが業績予想の下方修正につながる可能性がある。

 

欧州株式

バリュエーションは魅力的 - 中小型株は依然として投資妙味がある

  • 欧州の経済成長とインフレ率に関する最新のデータは予想よりも良かった。しかし、予想を下回る先行指標は目立っており、現時点までの第3四半期の業績発表はかなりまだら模様である。
  • それでも、魅力的なバリュエーションから欧州株式を選好している。欧州の中小型株に投資機会があると我々は見ている。

 

新興国株式

中国が好転する兆しはない - インド株式が有望

  • 中国を抜きにした盛り上がりはない。中国の経済データは安定しつつあるものの、経済が一段と大幅に回復する兆しはいまだに見られない。中国株式のバリュエーションは割安になっているが、それでも我々にとっては説得力のある買い材料にはならない。
  • 我々は新興国株式について短期的に中立を維持するが、インドについては投資妙味があるとみている。堅調な経済成長、インフレ率の鈍化、バリュエーションの若干の低下等がその理由である。

凡例

短期および長期見通し

指標は、DWSが当該資産クラスに関して上昇、横ばい、または下落の見通しを示しています。
短期的見通しは1~3カ月、長期的見通しは2024年9月までの収益可能性を示しています。

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  • 収益がプラスになる可能性
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  • 収益機会と損失リスクはいずれも限定的
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  • 収益がマイナスになる可能性

データや見通し等は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。

出所:DWSインベストメントGmbH、2023年11月10日時点

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