この記事は約1分で読めます。
レポートの要約
低ボラティリティ株式投資は株式市場の成長機会を捉えつつ下方リスクを低減するだけでなく、歴史的にも、高ボラティリティ株式や株式市場全体を上回るパフォーマンスを示してきました。当レポートではこのパラドックスを考察し、超過収益の獲得のために最適化した低ボラティリティ株式投資の手法をご紹介します。
現在の投資環境における低ボラティリティ株式投資
新型コロナウイルスによる前例のない脅威、世界的な負債の増加、さらに長期化する低金利環境などを背景に経済環境は不透明感を増しており、なかでも保守的な投資家は、信頼でき意味のある投資リターンを得る手法を注意深く探る必要があります。近年、戦略的アセット・アロケーションにおいては、株式市場のリターンを享受しつつも実質的な資産価値を保全することが焦点となっています。しかし、多くの保守的な株式戦略は、リーマンショック以降で最大の下落局面となったコロナ禍において、投資家を著しい損失から守ることができませんでした。その一方で、適切に設計された低ボラティリティ株式戦略は、株式市場の成長を捉えつつ下方リスクを抑えるだけでなく、歴史的にも、高ボラティリティ戦略や株式市場全体を上回るパフォーマンスを示してきました。この結果は、高いリスクが必然的に高いリターンに繋がるという従来の金融理論を一変させるものです。
株式市場の成長と下方リスクの低減
低ボラティリティ株式投資の最も基本的な魅力は下方リスクの低減にあります。つまり、ポートフォリオのリスクが低いほど、市場の大幅下落後に必要となる回復幅は小さくなります。一方、ポートフォリオの価値が大幅に毀損された場合、回復に要するリターンは大きく、回復までの時間は長くなります。2008年から2009年にかけての世界金融危機における空前の下落局面の後、MSCIヨーロッパ指数が下落前の水準に回復するまでに5年を要しました。また、59.1%の下落から回復するには、底値から144.3%のリターンが必要となります。つまり、大幅な下落からの回復に要するリターンや時間は投資家に大きな苦痛を与えうるのです。