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レポートの要約
債券ETF市場の成長は終わりの見えないトレンドか?
2019年は債券ETFにとって記録的な年となりました。世界の債券ETF市場には約2,400億米ドルの純資金流入があり、総資産残高は1.3兆米ドルを超えました。この10年間、債券ETFは投資家の裾野を広げることにより急成長を遂げてきました。債券ETF市場が純資金流出となったのは、2005年以降の185カ月のうち15カ月に過ぎません。
足元の変動性の高い相場環境の下でも、債券ETFへの資金流入は力強いものとなりました。2020年3月の市場急変により約350億米ドルの資金が流出したにもかかわらず、1月から5月までの期間には約600億米ドルの純流入を記録しました。この純流入額は、2005年から2008年にかけての3年間の合計額に匹敵します。
この成功の背景にある要因のいくつかは既によく知られています。債券市場では相対(OTC)取引が主であり、関連する取引コストや高い取引単位等の要因により、債券への直接投資で分散を図ることは非常に困難です。債券ETFは、低コストかつ小額で、規格化された取引機会を提供しました。また、細分化された債券市場に流動性を供給しつつ、取引所で売買するというETFの性質により価格形成の透明性が向上し、投資家はアイディアを迅速かつ効率的に実行する機会が得られました。
債券ETFの成長は強固なファンダメンタルズに裏付けられており、この傾向は今後も継続すると考えられます。時間と共に、成長の障害となっていた技術的な課題や指数・市場インフラの問題も適切に処理されてきました。この先10年間も同様の超低金利環境が継続するとなると、適切に配分された債券投資に替わる選択肢は非常に限られるでしょう。当レポートでは、債券ETFが乗り越えた5つの試練について考察します。2020年5月末時点で、世界の債券ETFの資産残高は約1.37兆米ドルであり、世界の債券市場に占めるETFの割合はわずか2%程度であると推定されています。債券ETFの成長はまだ始まったばかりであり、未だ巨大な成長余地を秘めています。