2020/08/07 DWSリサーチ

DWS長期市場見通し:アップデート

コロナ禍による企業のファンダメンタルへの影響は 「2009年の再現」シナリオを想定

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レポートの要約

 

本レポートでは、主要な資産クラスにおけるDWSの長期見通しをご紹介します


2020年5月発行の前レポート「DWSの長期市場見通し:コロナ禍は長期市場見通しをどう変えるか?」では、新型コロナウイルスによるパンデミックが長期的な投資リターンに与える影響の分析結果を示しました。5月時点では不確実性が高かったため、前レポートでは3つのシナリオを想定しました。1つ目の「現状維持」シナリオは、2020年2月発行の長期市場見通しで使用した経済成長、配当、クレジットリスクの前提を維持しながら、2020年1-3月期に観察された資産価格とインフレ見通しを反映させたものです。2つ目の「2009年の再現」シナリオでは2008年の世界金融危機後と同等の景気悪化、3つ目の「3シグマ」シナリオでは100年に一度レベルのさらに悲観的な景気悪化を想定した水準としました。

2020年4-6月期に明らかになったのは、現在進行中の危機は経済の観点からは「3シグマ」シナリオに近いものの、企業のファンダメンタルズへの影響は「2009年の再現」シナリオに近いだろうということです。前レポートでも示したとおり、政府や中央銀行による迅速な対応、金融などの主要セクターに属する企業の健全な財務状況、株式市場への資金の回帰が、資産価格の回復に寄与しました。そのため、DWSは「2009年の再現」をメインシナリオとして想定しています。

2020年4-6月期に投資家心理が急速に回復したのち、主要株式指数のいくつかは既に年初の水準にまで回復しており、中でもナスダック100指数は最高値を更新しました。投資家はこのような市場の動きを非合理的と考えるかもしれませんが、2020年3月発行のレポート「歴史からの教訓 その1 -なぜ市場は急落し、その後反発するのか-」で示したように、信用危機に陥らない限りは、企業の利益が2年間にわたり50%減少したとしても、割引率が変わらないと仮定した場合の理論株価の下落は5%に留まります。とはいえ、投資家が今後10年間に期待できる名目リターンおよび実質リターンは冴えないものになるでしょう。全体的には、分散された投資ポートフォリオの期待リターンを2020年3月末の5.7%から4.9%に引き下げました。その中で、魅力的な投資機会は株式とオルタナティブ資産にあると見ています。これらの見通しは、平方根記号型の経済回復パターンに基づくものです。

一方、「3シグマ」シナリオによるW字型やU字型の経済回復パターンとなった場合、期待リターンはさらに押し下げられる可能性があります。「3シグマ」シナリオでは、世界全体の株式のリターンが0.4%から0.8%程度も「2009年の再現」シナリオより低下する見込みです。また、「3シグマ」シナリオでは、REIT、インフラ、米国ハイ・イールド債券の期待リターンが大幅に低下すると見込んでいます。

「DWS長期見通し」では、オルタナティブ資産を含む各資産クラスについて、【インカム】、【グロース】、【バリュエーション】に分類される要素の効果を足し合わせて期待リターンを算出しています。

例えば、グローバル株式では、【インカム】は「配当利回り」と「自社株買い・希薄化」、【グロース】は「インフレ」と「利益成長」、【バリュエーション】は「バリュエーション調整」の計5要素で構成されています。グローバル株式の期待リターンは前回6.5%から今回5.1%へと1.4%ポイントの低下となりましたが、「配当利回り」のプラス効果の縮小と「バリュエーション調整」がマイナス効果に転じたことが主因となりました。

各資産クラスの要素別の内訳および変化、長期見通しの算出手法については、レポート全文をご覧ください。

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