2021/11/10 DWSリサーチ

DWS長期市場見通し 2021年第3四半期:インフレ懸念の再燃

2021年9月末基準での主要資産クラスの長期市場見通しを紹介

この記事は約2分で読めます。

要点

 

  • エネルギー価格の上昇と長引くサプライチェーンの問題によりインフレ懸念が再燃
  • 一部に需給の緩みが見られるなか、インフレ圧力高止まりの可能性は低いが依然として残る
  • ただし、コモディティ等の名目リターン予測は抑えられており、インフレが加熱した場合の吸収効果は小さい

レポートの要約

 

当レポートでは、2021年9月末基準での、主要資産クラスのDWS長期市場見通しを示します。

足元では、インフレ圧力の長期化に対する懸念が再燃している。経済成長は健全かつ企業業績も底堅い状況が続く中、生産者と消費者の双方に対するコスト圧力が継続しており、「一時的なインフレ」の程度に関する議論が再燃しています。エネルギー価格や住宅価格の上昇は、長引くサプライチェーンの問題や一部産業での労働力不足とも重なり、消費者の財布を直撃し続けています。その間、世界経済の成長はやや減速した。2021年9月末時点で、失業と就職難はコロナ禍以前の水準にあり、需給ギャップはマイナス1.7%であることから、長引くインフレと低い実質経済成長という1970年代の「スタグフレーション」との類似が指摘され始めています。

インフレ期待の上昇にも関わらず、米連邦準備制度理事会(FRB)および世界の中央銀行はハト派的な態度を維持しており、利上げ予定は少し早められたに過ぎません。実質金利は史上最低水準にあり、先進国を中心に、多くの国・地域では大幅なマイナス領域にあります。マイナス実質金利と過去10年に渡る中央銀行のバランスシート拡大の影響を部分的に受けて、資産価格のバリュエーションもまた高止まりしています。割高な株式と社債のバリュエーションと長引くインフレ圧力のバランスを取ることは、中央銀行にとって厳しい難問でしょう。

予想リターンは概ねこのストーリーに沿ったものとなっており、過去10年間の実績と比較すると、迫力に欠いています。一部の資産はインフレ特性を持つため、高インフレの長期化は実質利益成長の悪化をもたらし、リスクオンとリスクオフの両局面でのバリュエーションの安定性に影響が見込まれます。

DWSのモデルでは、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)の今後10年間の期待リターンを年率4.6%と予想しました。これは過去10年間の実績リターンの半分にも届きません。全体としては、分散されたマルチ・アセット・ポートフォリオの期待リターンは4.0%となり、2021年初の水準から0.10%ポイント向上しました。



図表:10年間の予想リターン

※データや見通し等は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。

その他の投資関連情報はこちら

■当サイトは、情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品の推奨や投資勧誘を目的としたものではありません。当サイトは、信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。当サイト記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。

CIO View