2020/05/07 DWSリサーチ

DWS長期市場見通し:コロナ禍は長期市場見通しをどう変えるか?

コロナ危機が長期市場見通しに与える影響を DWS独自の手法で徹底的に分析

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レポートの要約



2020年の初め、多くの資産クラスの長期リターン予測はそれほど期待できない水準だった。つまり、割高なバリュエーションのために期待リターンは低く抑えられていたが、コロナ禍がこの状況を一変させた。世界的な景気後退への懸念から世界の株式市場は大幅に下落するとともに、先進国の国債利回りはさらに低下した。資産配分の担当者はどう対応するべきか、市場予測の前提が変わらないのであれば自明である。しかし、今回の景気後退が世界金融危機(GFC)を超える可能性を踏まえると難しい作業となるだろう。

DWSでは3つのシナリオに基づく長期市場見通しを作成した。1つ目の「現状維持」シナリオは、2020年1月発行の長期市場見通しで使用した経済成長、配当、クレジットリスクの前提を維持しながら、2020年1-3月期に観察された資産価格とインフレ見通しを反映させたものである。2つ目と3つ目は代替シナリオであり、「2009年の再現」シナリオでは2008年の世界金融危機後と同等の景気悪化、「3シグマ」シナリオでは100年に一度レベルのさらに悲観的な景気悪化を想定した水準のものである。

その結果、「3シグマ」シナリオの下での長期市場見通しは、2019年末の資産価格を基準に作成した2020年1月発行の長期市場見通しの結果と驚くほど似通っていた(ただし、新興国国債、米国債、ユーロ・ハイ・イールド債においては、比較的大きな変化が見られた)。今回のような危機時でも、市場における資産価格の調整が効率的に機能することを示しているのかもしれない。また、「現状維持」または「2009年の再現」のやや楽観的なシナリオに基づけば、絶対リターンと対国債利回りの両面で、年初時点よりもより有望な投資機会を見出すことができるだろう。

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